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原料が採れなくなった生業(81件)
作る技術ではなく、材料そのものが手に入らなくなった生業です。
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- 刀鍛冶(刀匠) 世界|欧州の刀剣鍛冶(ゾーリンゲン=ドイツ、トレド=スペイン)
もし消えたら=日本刀という美術品・武具を新しく作る技術そのものの断絶、玉鋼を焼くたたら製鉄など上流技術の行き場。 - 桶・樽職人(結桶師/桶屋) 世界|欧州のクーパー(樽職人。フランス・コニャック/ボルドー地方、スコットランド・スペイサイド地方のウイスキー樽産地等)
もし消えたら=木が呼吸することで味噌・醤油・酒を「生きたまま」熟成させる技術と、桶・樽が支えてきた発酵食文化の土台。 - 檜皮葺職人(屋根葺師) 世界|イギリスの茅葺き職人(サッチャー)
もし消えたら=檜皮という天然素材だけで曲線を描く、瓦にはない柔らかな屋根の表情と、1976年に文化庁の選定保存技術に指定されたほど希少な、原木からの一貫した技術継承。 - 長崎鼈甲(べっ甲細工) 世界|欧州のべっ甲細工職人(フランス・英国のécailliste、櫛や眼鏡フレームを作った伝統職)
もし消えたら=出島貿易から続く400年の技術と、接着剤なしで鼈甲同士を熱圧着する「はぎ合わせ」技法 - 傘職人(金沢和傘) 世界|西洋の洋傘職人(アンブレラメーカー)
もし消えたら=明治・大正期に118軒あった金沢の傘屋が生んだ町の景観と、竹と和紙だけで作る雨具という選択肢が失われる - めのう細工職人(若狭めのう細工) 世界|ドイツ・イーダー=オーバーシュタインのアゲート(めのう)研磨職人
もし消えたら=石を熱処理で発色させるという日本最古級とされる宝石加工技術と、享保年間から続く技術の系譜が失われる - 鍛冶職人(種子鋏) 世界|ドイツ・ゾーリンゲンの鋏鍛冶職人
もし消えたら=鉄砲伝来と同時期に伝わったとされる日本初のハサミの製法と、日本刀の鍛接技術をそのまま応用した「切れば切るほど切れ味が増す」という独自の刃の系譜が失われる - 藤布織り手(丹後藤布) 世界|太平洋諸島のタパ(樹皮布)職人、欧州のイラクサ布(ネトルクロス)職人
もし消えたら=弥生時代の遺跡からも出土する日本最古級の織物技術の一つでありながら、昭和初期には一度完全に途絶えたと考えられていたものが1962年の民俗調査で山村に細々と伝わっているのが発見された、という「消えたと思われていたものが実は生きていた」という物語が失われる - 和紙職人(小国和紙) 世界|イタリア・ファブリアーノの手漉き紙職人
もし消えたら=明治初頭に年間800万枚以上、昭和初期には2,200万枚もの紙を生産した一大産地が、現在は「小国和紙生産組合」という一組織のみに継承が集約されている、という規模の激減そのものの記録が失われる - 陶芸家・窯元(出石焼) 世界|英国・ウェッジウッド社のジャスパーウェア職人(彩色を排し白色の浮き彫り装飾を主とする炻器・磁器の系譜)
もし消えたら=純白の磁肌に浮き彫り・透かし彫りだけで模様を表す「白すぎる焼き物」という、日本の陶磁器の中でも異色の美意識と、明治期には海外の万国博覧会で高く評価された歴史 - 奈良墨職人(墨匠) 世界|中国・安徽省徽州の徽墨(きぼく)職人(煤と膠を練り固める、中国伝統の墨づくりの本家筋にあたる職人)
もし消えたら=全国シェア約9割を占め、日本国内の固形墨生産者が奈良8軒・三重1軒の計9軒にまで集約されているという極端な集中と、大同元年(806年)に空海が唐から製法を持ち帰ったという起源伝承 - 織元(八重山上布) 世界|アイルランドのアイリッシュ・リネン職人(麻の一種フラックスを原料に、屋外の芝生や日光にさらして自然に漂白する伝統技法を持つ)
もし消えたら=重い人頭税の貢納布として織られてきたという苦難の歴史と、海水で色止めする「海ざらし」という石垣島ならではの自然に委ねた仕上げ技術。 - 織元(宮古上布) 世界|韓国・忠清南道のハンサン苧(モシ)織元(ユネスコ無形文化遺産に登録された、苧麻を原料とする韓国の最高級麻織物)
もし消えたら=木槌で一万回も叩くという気の遠くなる「きぬた打ち」の工程と、国の重要無形文化財にも指定された最高級麻織物としての格式。 - 鼈甲細工職人(江戸鼈甲) 世界|イタリア・トッレデルグレコの鼈甲・珊瑚彫刻職人(地中海の海産素材を用い、貼り合わせや透かし彫りの技術で発展した宝飾工芸の町)
もし消えたら=長崎鼈甲とは異なる、貼り合わせ技術を極めた複雑な造形と、江戸の粋を体現した髪飾り(櫛・簪・笄)の意匠。 - 手漉き和紙職人(名尾手漉和紙) 世界|イタリア・ファブリアーノの手漉き紙職人(中世から続く製紙町で、特定の製法・材料への強いこだわりを守り続ける)
もし消えたら=半径3km圏内にしか残っていないとされる梶という原料そのものと、最盛期100軒超から現在は1社のみという極限まで縮小した産地の記憶。 - 陶芸家・窯元(高浜焼) 世界|英国コーンウォールの磁器産地(良質なカオリン鉱床の発見をきっかけに磁器生産が始まった、原料立地型の英国磁器産地)
もし消えたら=天草陶石という世界的な原料の産地でありながら磁器の産地としては小規模にとどまってきた高浜焼独自の窯元の系譜が失われる - 陶芸家・窯元(内田皿山焼) 世界|磁器と陶器を一貫して手掛ける英国スタッフォードシャーの小規模窯元(同一の原料産地で磁器・陶器の両方を焼き分ける産地の在り方が共通)
もし消えたら=1650年頃の発掘調査で存在が確認されている内田皿山焼の窯の系譜と、柞の木を自家栽培してまで再現する天然柞灰釉の技法が失われる - 紙漉き職人(蒲生和紙) 世界|フランス・オーヴェルニュ地方の伝統製紙職人(貴族・領主の御用紙として保護され、後年家業として一子相伝で継承されてきた欧州の手漉き製紙の系譜)
もし消えたら=約300年前に島津家の御用紙として始まり、最盛期には約300戸が従事したとされる蒲生和紙の技術系譜が、担い手1名をもって途絶える危機にある - 籠師(有馬籠) 世界|フランス・ヴィレーヌ=レ=ロシェのオジエ(柳)バスケット職人(中世から続く柳細工の村で、宮廷・家庭向けの実用籠を編む伝統)
もし消えたら=1585年に豊臣秀吉の正室・北政所へ贈られたと伝わり、1873年のウィーン万博で優秀賞を受賞した歴史を持つ、六甲山系の晒竹を極細に加工する編み技術と、現在1社のみが継承する技法 - 紙漉き職人(名塩紙) 世界|アメリカ・クレイン社の紙幣用コットン紙職人(紙幣・公文書向けに耐久性の高い特殊な紙を漉く専門職人)
もし消えたら=越前から伝わったとされる抄紙技術に地元産の泥土を漉き込むという独自の工夫を加え、藩札の地紙や国宝級文化財の修復用紙として重宝されてきた「名塩千軒」と呼ばれた紙漉きの里の技術と、現在2軒のみが継承する技 - 紙漉き職人(二俣和紙) 世界|イギリス・王立造幣局御用の透かし紙職人(公文書・紙幣用に透かしを入れた特別な紙を漉く伝統)
もし消えたら=養老年間に僧・泰澄が紙漉きを始めたと伝わる1300年の歴史と、加賀藩の献上紙漉き場として高級な公用紙「加賀奉書」を漉いてきた記憶、原料の楮の栽培から一貫して手がける製法 - 洋傘職人(東京洋傘) 世界|イギリス・フォックス・アンブレラズの洋傘職人(19世紀から続く、伝統的な骨組みと生地張りの手仕事で高級洋傘を仕立てる工房)
もし消えたら=幕末にペリーの洋傘が世間を驚かせたことに始まり、明治5年の坂本商店による国産化を経て100年以上ほぼ同じ手法を守り続けてきた、東京の洋傘づくりの手仕事 - 象牙彫刻師(江戸象牙) 世界|フランス・ディエップの象牙彫刻職人(17世紀から続く、精緻な彫刻を施した象牙工芸品を作る伝統的な港町の工芸)
もし消えたら=8世紀の中国伝来から江戸時代に根付・三味線撥という独自の実用美術へと発展させ、明治・大正期には海外輸出品として名工を輩出した象牙彫刻の技術。ワシントン条約による国際取引規制で、2009年以降新規の象牙が輸入されておらず、登録済みの在庫のみで支えられている現状 - 和ろうそく職人(西宮和ろうそく) 世界|フランスのミツロウキャンドル職人(養蜂と結びついた、蜜蝋を使う伝統的な手作りキャンドル製作)
もし消えたら=姫路藩の藩業として発達し、明治10年頃に姫路城下から分家して大阪・西宮へと受け継がれてきた製法と、武家や裕福な商人の高級な照明具であった和ろうそくづくりの技術。兵庫県内で唯一の担い手とされる現状 - 竹細工職人(西川登竹細工) 世界|ベトナムのフーヴィン村の竹細工職人(フランス統治期以来、竹を編んで日用品から輸出用工芸品まで手がける伝統産地)
もし消えたら=明治初期に武雄市で始まり、佐賀・長崎県境をまたぐ流通体制のもとで発達した、ヘギ・こざあみ等10種近い編み方を使い分ける竹細工の技術 - 土人形師(弓野人形) 世界|メキシコのタラベラ焼の人形職人(型に粘土を詰めて成形し、彩色を施す中南米の伝統的な陶製人形細工)
もし消えたら=明治中期に武雄市橘町弓野で興り、江口人形店・古瀬人形店という家業として受け継がれてきた、武者人形からひな人形、達磨像、大黒恵比寿まで幅広く手がける土人形づくりの技術 - しな布織り手(羽越しな布) 世界|北欧・ロシア北部の菩提樹(リンデン)樹皮繊維(バスト)職人
もし消えたら=縄文時代にまで遡るとされる日本最古級の布づくりの技術と、シナノキ一本から一本の帯を織るまでに一年がかりという「植物を布に変える」原初的な知恵そのもの - 鰹節職人 世界|生ハム職人(伊・西)
もし消えたら=昆布(海藻)と鰹節(魚)を掛け合わせることで生まれる「うま味(UMAMI)」の原点。 - 和紙職人(手漉き和紙) 世界|欧州の手漉き製紙職人(イタリア・ファブリアーノ、フランスの伝統的製紙所等)
もし消えたら=書画・障子や文化財修復に使われる「光を通す紙」と、1300年にわたり文書・記録を伝えてきた保存性の高い紙の技術。 - 陶芸家・窯元(有田焼) 世界|ヨーロッパの磁器工房(マイセン、ドイツ)
もし消えたら=1616年から続く日本初の磁器生産の技術系譜と、窯元同士が原料・技法を分業しながら支えてきた産地としての一体感。 - 花火師(煙火職人) 世界|西洋の花火師(ピロテクニシャン)
もし消えたら=両国の川開きから続く花火大会の文化と、球形に開く「割物」を手作業で仕込む火薬職人の技術。 - 江戸切子職人 世界|ボヘミアン・クリスタルのカットグラス職人(チェコ)
もし消えたら=色被せガラスに和柄を彫り込むという江戸から続くガラス工芸の技術と、隅田川沿いに集積してきたガラス職人の産地としてのつながり。 - 甲州水晶貴石細工職人 世界|アイダー・オーバーシュタインの宝石研磨職人(ドイツ)
もし消えたら=地元で採れた水晶が涸れた後も、京都伝来の研磨技術と職人の目利きだけで世界中から輸入した原石を「甲州水晶貴石細工」として仕立て続けてきた技術の系譜。仏像彫刻から現代のジュエリーまで、一つの技術で形を変え続けてきた産地としての適応力。 - 和ろうそく職人 世界|欧州のチャンドラー(蝋燭職人、蝋燭職人ギルドの伝統)
もし消えたら=仏壇や神事で灯される「消えない炎」の伝統と、灯芯まで手作業で巻き上げる技法 - 尺八製管職人 世界|中東のネイ笛職人(スーフィー神秘主義音楽で使われる葦の端吹き笛)
もし消えたら=「吹禅」という音楽と瞑想が一体化した文化と、一本一本の竹の個性に合わせて内径を調整する製管技術 - 房州うちわ職人 世界|中国の団扇(纨扇/团扇、絹を張った円形の柄付き扇)
もし消えたら=21の全工程すべてが手作業という、丸亀・京とならぶ日本三大うちわ産地の一つの技術 - 和紙職人(越前和紙) 世界|イタリア・ファブリアーノの製紙職人(マルケ州、13世紀創業とされる欧州最古級の紙産地)
もし消えたら=紙幣の原型ともいわれる「五箇(ごか)」の紙郷に伝わる1500年余りの歴史と、越前奉書という最高級木版画用紙を支える技術 - 和紙職人(土佐和紙) 世界|欧州の聖書用紙(インディア・ペーパー)職人(薄くても裏写りせず不透明な紙を工業的に実現した抄紙技術の系譜)
もし消えたら=世界の美術館・博物館の修復現場を支える「世界最薄の紙」という技術と、平安時代から続くとされる産地の歴史 - 曲げわっぱ職人(大館) 世界|アメリカ・シェーカー教徒のシェーカーボックス職人(曲げ木の楕円箱づくり)
もし消えたら=秋田杉の柾目を薄く挽いて曲げ、山桜の樹皮で綴じるという製法と、木製の弁当箱がご飯の水分を調整するという暮らしの知恵 - 燕鎚起銅器職人 世界|フランス・ノルマンディー地方の手作り銅鍋職人(ヴィルディユ=レ=ポワル等の銅器工房)
もし消えたら=1枚の銅板を叩いて継ぎ目なく立体にする鎚起技法と、約210年にわたり技術を継承してきた燕の金属加工の系譜 - 二風谷アットゥシの織り手 世界|北米太平洋岸北西部の先住民による樹皮布・シーダーバーク織物職人
もし消えたら=オヒョウの樹皮を発酵させ繊維に裂いて糸に績む技術と、2013年に北海道で初めて国の伝統的工芸品に指定されたアイヌの染織文化 - 和紙職人(阿波和紙) 世界|フランスの伝統製紙職人(アルシュ〈Arches〉等、水彩画・版画用の高級手漉き紙産地)
もし消えたら=1300年前の忌部族による製紙伝承から続く、藍染めなど加工に耐える丈夫さと、戦後唯一残った藤森家が守り続けてきた技術 - いずみガラス職人(ガラス職人) 世界|イタリア・ヴェネツィア(ムラーノ島)のガラス職人(バーナーワーク・吹きガラスで色ガラス細工を作る世界的なガラス産地)
もし消えたら=明治10年(1877年)頃に堺から伝わったガラス玉製造技術に始まる、炎の前で一玉ずつ手作業する「ランプワーク」の技術と、簪や帯留め等の和装小物を彩ってきた歴史 - 毛鉤職人(播州毛鉤) 世界|スコットランド・イングランドのフライタイヤー(毛針結い職人)
もし消えたら=渓流釣りの疑似餌としての実用と、金箔・漆で仕上げる装飾美の両立という播州の技術が失われる - 丹波布織り手 世界|英国のハリス・ツイード織り手(アウター・ヘブリディーズ諸島の手織り羊毛織物)
もし消えたら=明治末期に一度途絶えかけた「縞貫」という名の野良着が、民藝運動の柳宗悦により発見・命名され「丹波布」として復興した歴史と、その復興自体が象徴する「一度失われかけたものを取り戻す」物語が失われる - 漆器職人(京漆器) 世界|欧州のジャパニング職人(17〜18世紀フランス・英国、本物の漆が手に入らず代替塗料で漆器の艶を模倣した伝統)
もし消えたら=1200年続くとされる蒔絵の技法と、山科産の地之粉・砥之粉を使う下地技法によって生まれる、薄手でありながら堅牢な京漆器の完成度 - 桐箪笥職人(加茂桐箪笥) 世界|アメリカ・ヴァージニア州のシーダーチェスト産業(Lane社等が代表格。20世紀半ばに高校卒業祝いの定番贈答品として広まった単一地域集中型の「ホープチェスト」産地)
もし消えたら=全国生産量の約7割を担う「日本一の桐たんす産地」が、わずか12事業所という小規模さで支えられているという現実と、天明年間からの指物技術の系譜。 - 箪笥職人(越前箪笥) 世界|オーストリア・チロル地方の婚礼用長持(Hochzeitstruhe、彩色と鍛鉄金具で飾られた花嫁道具箱)職人
もし消えたら=越前打刃物の金具・越前漆器の塗りという、同じ産地の他の伝統工芸を横断的に取り込んだ複合技術の結晶。 - 三味線職人(奄美三味線) 世界|アメリカ・アパラチア地方のバンジョー職人(西アフリカ起源の弦楽器が新大陸で独自に変化した、動物皮の共鳴胴を持つ撥弦楽器の系譜)
もし消えたら=沖縄とも本土三味線とも異なる、蛇皮の薄さ・黄色い弦・返し撥奏法・独自記譜法という4つの識別点で語られる奄美の島唄伴奏文化。 - 印章職人(甲州手彫印章) 世界|ドイツ・イダー=オーバーシュタインの宝石彫刻職人(地元産の水晶・瑪瑙を素材に、彫刻技術で世界的な宝石加工の町として発展した産地)
もし消えたら=伝統的工芸品に指定された唯一の印章という称号と、御嶽山系の水晶採掘に始まり木彫り技術と融合して発達した山梨独自の彫刻文化。 - 陶芸家・窯元(宮島焼) 世界|フランス・カンペール焼職人(巡礼地・観光地に結びついた、地域の風土を映す絵付け陶器の伝統)
もし消えたら=厳島神社本殿の下の砂を練り込むことで生まれる、二つとない自然な窯変模様と、「お砂焼」という名に込められた参拝・信仰との結びつき。 - 漆器職人(江戸漆器) 世界|フランスのヴェルニ・マルタン工房(18世紀、東洋の漆を模して調合ワニスを幾層にも塗り重ね家具・調度品を仕立てた欧州の塗装工房)
もし消えたら=複数の職人が分業しながら「塗っては研ぐ」を繰り返す下地から上塗りまでの総合的な漆工技術と、第二次大戦前は国内でも採取されていた良質な漆を見極める目利きの系譜が失われる - 北山丸太師(北山丸太) 世界|北米の化粧丸太(ハンドピール材)職人(皮を剥ぎ乾燥・研磨して仕上げる、高級ログホームや別荘建築向けの丸太仕上げ工房)
もし消えたら=皮剥ぎから天日干し、水磨きまで手間をかけて木肌を白く滑らかに仕上げる約600年の技術と、桂離宮・修学院離宮・島原角屋といった数寄屋建築の名品を支えてきた丸太産地としての歴史が失われる - 陶芸家・窯元(丸尾焼) 世界|英国スタジオポタリー運動の家族窯(大量生産の工業陶磁器に対抗し、素材の質感を活かした手仕事の器を家族経営で焼き継ぐ英国の窯元文化)
もし消えたら=1845年創業から5代170年以上続く金澤家の窯の系譜と、丸尾ヶ丘の赤土ならではの素朴な風合いが失われる - 土人形師(稲畑人形) 世界|ロシアのディムコヴォ土人形職人(素朴な彩色を施した粘土の玩具人形を作る、ロシア中部ヴャトカ地方の民芸伝統)
もし消えたら=経済的事情でひな人形を買えない農民のために1846年に赤井若太郎忠常が作り始めたという由来と、菅原道真をモデルにした「練天神」を飾るという他の雛人形にはない独自の様式、地元産の「赤井粘土」を使う技術 - 竹材師(京銘竹) 世界|イギリスの生垣用ヘーゼル(榛の木)林業家(コピシング〈台伐り〉という伝統的な森林管理法で、垣根・家具用の材木を計画的に育てて出荷する職人)
もし消えたら=平安時代に中国から伝わった竹が京都盆地の風土に適応して以来、江戸時代の将軍家御用の竹細工師の技を受け継ぐ、白竹・胡麻竹・図面角竹・亀甲竹という4種の竹材を育て上げる素材づくりの技術 - 竹工芸職人(京竹工芸) 世界|イギリス・サマセット地方のウィロー(柳)バスケット職人(伝統的な柳細工の産地で、実用品から美術工芸品まで幅広く手がける職人集団)
もし消えたら=京銘竹という高品質な素材と、茶道・華道の美意識に磨かれた、竹の質感をそのまま生かす京都の竹工芸の技術 - 南部鉄器職人(鋳物師) 世界|ヨーロッパの鋳鉄鍋工房(フランスの琺瑯鋳物等)
もし消えたら=川砂を使った「惣型」鋳造という手仕事による鋳物技術と、鉄瓶で沸かした白湯が水をまろやかにするという茶の湯釜以来の暮らしの知恵。 - 漬物職人 世界|ドイツのザワークラウト職人
もし消えたら=毎日かき混ぜて育てる「糠床」という生きた発酵文化と、京漬物・野沢菜など地域ごとに育まれた多様な漬け方の技術。 - 一位一刀彫職人 世界|木彫り職人(ドイツ・オーバーアマガウ、スイス・ブリエンツ等、欧州の木彫刻職人)
もし消えたら=一本の刀だけで丸みや陰影を彫り出す一刀彫の技術と、300〜400年かけてしか育たないイチイの木目を無駄なく生かす目利きの記憶。 - 宝石珊瑚細工職人(土佐珊瑚) 世界|トッレ・デル・グレコの珊瑚職人(イタリア)
もし消えたら=江戸末期に土佐藩の禁制品だった珊瑚が、明治以降に高知の原木オークションを通じて世界に流通する宝飾品へと育っていった歴史と、深海性ゆえに地中海の珊瑚には無い桃色・白色の色幅を活かす彫刻・染色の技術。 - 陶芸家・窯元(九谷焼) 世界|フランス・リモージュの磁器職人(純白の硬質磁器に金彩で花模様を描く伝統)
もし消えたら=一度廃絶(古九谷)しながら再興を遂げた稀有な産地の歴史と、九谷五彩という独特の濃密な上絵付け技法 - 陶芸家・窯元(萩焼) 世界|朝鮮半島・李朝の粉引・井戸茶碗(元は日常雑器として作られた素朴な白い器の系譜)
もし消えたら=使うほどに景色が変わる「萩の七化け」という経年変化を愛でる美意識と、文禄・慶長の役に由来する朝鮮陶工の技術系譜 - 村上木彫堆朱の彫師 世界|中国の剔紅(てきこう)職人(彫漆)
もし消えたら=木地を彫ってから漆を重ねるという『彫り先行』の技法と、京都の宮大工・仏師の技術が村上の町人文化に溶け込んだ歴史 - 秋田樺細工職人 世界|北欧サーミの樺皮細工職人(ドゥオッジ)
もし消えたら=山桜の樹皮を焼きごてで圧着する技術と、下級武士の内職として始まり角館の地場産業に育った樺細工の歴史 - 薩摩切子職人 世界|ボヘミアン・クリスタルのカットグラス職人(チェコ)
もし消えたら=一度完全に途絶えた技術を1985年前後に一から復元したという歴史そのものと、色から透明へ境目なくぼかす「ぼかし」の技法が失われる - 琉球絣織元 世界|インドネシアのイカット(絣)織元
もし消えたら=経緯絣という高度な位置合わせの技法と、約600種にのぼるとされる身の回りの動植物文様の体系が失われる - つげ櫛職人(薩摩つげ櫛) 世界|フランス・イギリスのツゲ材コーム職人(ホーン・コーム職人を含む)
もし消えたら=江戸中期の武士の内職に起源を持つ技術と、指宿で娘の誕生時に木を植え嫁入り道具に仕立てるという一生をかけた贈り物の風習が失われる - 屋久杉工芸職人(屋久杉挽物・屋久杉小工芸品) 世界|北米・カリフォルニアのレッドウッド(セコイア)古材の家具職人
もし消えたら=樹脂を多く含み腐りにくいため数百年〜千年単位で土中に埋もれても加工できる「土埋木」という特殊な原料資源と、それを活かす木工技術が失われる - 陶芸家・窯元(壺屋焼) 世界|ヨーロッパの磁器工房(マイセン、ドイツ)
もし消えたら=東アジアの交易と王府の政策が交差して生まれた、上焼(実用の日用品)と荒焼(魔除けのシーサー等)という2系統が同じ産地に共存する技術体系 - 籐工芸職人(東京籐工芸) 世界|欧米のウィッカー(籐・柳)家具職人(ヴィクトリア朝英国で発達した、籐や柳を編んで椅子やベビーカーを仕立てる工房の系譜)
もし消えたら=インドネシア・マレーシア産の素材を厳選し、釘を見せない仕口や耐久性を追求する職人の目利きと、ホテルのロビーから家庭まで幅広い場に浸透した籐家具の修理文化が失われる - 錫器職人(薩摩錫器) 世界|英国コーンウォールのピューター(錫合金)職人(地元産出の錫鉱石を背景に発展した、鋳造・研磨による金属工芸の伝統)
もし消えたら=1655年の錫鉱脈発見に始まり、幕末の集成館事業という日本の近代化事業とも結びついた薩摩錫器の300年以上の歴史と、酸で腐食させる『梨地』という独自の仕上げ技法が失われる - 陶芸家・窯元(佐渡無名異焼) 世界|中国・宜興(ぎこう/イーシン)の紫砂(しさ)茶器職人
もし消えたら=佐渡金山の採掘と表裏一体で発達した「鉱物を焼き物に変える」独自の地質由来の技術と、人間国宝・五代伊藤赤水を輩出した無施釉焼き締めの美意識 - 筆司(豊橋筆) 世界|ロシア・欧州のコリンスキー(イタチ科動物の毛)画筆職人
もし消えたら=375人とされる職人が支える国内有数の筆生産地としての規模と、書道筆から面相筆・日本画筆まで一つの産地で作り分ける幅広い技術の蓄積 - 金継ぎ職人 世界|欧州の陶磁器リベット修理職人(china riveter、金属の鋲で割れた陶磁器を接着剤なしに固定する伝統技術)
もし消えたら=「壊れたものを直して長く使う」という日本の美意識と、漆という天然接着剤を使う技術 - 甲州印伝職人 世界|スペインのコルドバ革職人(グアダメシ、金箔を使う型押し・彩色革の伝統)
もし消えたら=鹿革に漆で模様を置くという世界でも類を見ない技法と、400年続く老舗が支える産地 - 竹刀職人(剣道具) 世界|欧州のフェンシング用剣製作者(フランス・ドイツ・イタリアのフォイル/エペ製作の伝統)
もし消えたら=剣道人口を支える竹刀という道具そのものと、真竹の選定から矯正・仕上げまで含む手仕事 - 漆器職人(山中漆器) 世界|英国のトリーンウェア職人(陶磁器が普及する以前の木工旋盤による日用木製食器の伝統)
もし消えたら=木地挽き日本一とされる技術と、250事業所という国内漆器産地では有数の規模を持つ生産基盤 - 陶芸家・窯元(砥部焼) 世界|オランダ・デルフト焼職人(白地に藍一色の呉須(コバルト)で文様を描く陶器の系譜)
もし消えたら=「割れにくい」という機能美を追求した結果生まれた厚手の白磁と藍の文様、民藝運動を通じて評価された日用の美の思想 - 小千谷紬の織元 世界|アイルランド・ドニゴール州のドニゴール・ツイード職人(手紡ぎの節のある糸を使い、色の斑点を織り込む毛織物の職人)
もし消えたら=屑繭を無駄にせず紡ぎ直すという倹約の知恵から生まれた「つむぎ」という技術と、隣接する小千谷縮(麻)との技術的な兄弟関係 - 和紙職人(内山紙) 世界|ネパール・ヒマラヤ地方のロクタ紙職人(虫が食わない樹皮を原料とし、公文書の保存に使われる手漉き紙の職人)
もし消えたら=雪の照り返しで紙を漂白する「雪ざらし」という豪雪地帯ならではの工程と、蒟蒻糊のコーティングで虫害を防ぎ障子紙として100年単位で使われてきた実績
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