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需要そのものが消えた生業(70件)
安い物に負けたのではなく、使う場面そのものが暮らしから消えた生業です。
この分類は、各行の「いま直面している問題」に実際に書かれている言葉だけを根拠にしています。
書かれていない行は、推測で分類せずこの一覧から外しています。
- 雄勝硯職人 世界|端渓硯職人(中国・広東省)
もし消えたら=室町期(約600年前)から採掘され、江戸初期に伊達政宗に硯を献上し伊達家お抱えの硯師となった歴史。東日本大震災で産地が壊滅的な被害を受けた後も、数少ない職人が採掘から手仕上げまでを一貫して担ってきた技術。 - 雲州そろばん職人 世界|中国の算盤(суанpan、上二玉・下五玉の伝統的な珠算具)
もし消えたら=最盛期に年100万丁を製造した産地の記憶と、たたら製鉄の里ならではの精密な軸加工技術 - 秩父銘仙の織元 世界|インドネシアのバティック(ろうけつ染め)職人。/インド・アジアのイカット染織職人(先染め・絣の技法で大胆な文様を織る、庶民の日常着文化の系譜)
もし消えたら=屑繭を無駄にしない知恵から生まれた「ほぐし捺染」の技術と、大正〜昭和初期に働く女性たちの憧れだった「銘仙」というモダンな普段着文化の記憶。最盛期に320軒あった関連工場は現在数軒にまで減っているとされる - 鈴鹿墨職人(墨匠) 世界|ドイツ・ファーバーカステル等の欧州製図インク/ドローイングインクメーカー(顔料・煤を原料にした描画用インクの老舗)
もし消えたら=奈良時代末期〜平安時代初期からとされる歴史と、全国シェアの一部を占めるとされる固形墨づくりの技術。三重県内で唯一の製墨業者が現在この技術を守っている - つまみ簪職人(江戸つまみ簪) 世界|フランスの造花師(フルーリスト・アルティフィシエル/絹花職人)
もし消えたら=文政期(1818〜30年)の記録にも残る技法と、現在は関東・関西を合わせても数少ない職人に集約された、正方形の布をピンセットでつまんで花に変える手技という選択肢が失われる - 屏風職人(加茂屏風) 世界|欧州の折り畳み式パーティション(コロマンデル・スクリーンの西洋側の写し手・室内装飾用スクリーン職人)
もし消えたら=昭和39年に製造業者15軒・従業員104人・行商人120人を数え、昭和50年代には全国市場の90%を占めるまでになった一大産業が、現在は市内2軒にまで収縮しているという規模の激変が失われる - 曲物師(寺泊山田の曲物) 世界|米国シェーカー教徒のベントウッドボックス職人(オーバル型曲げ木箱の伝統工芸家)
もし消えたら=新潟県内で唯一残る篩(ふるい)・裏漉し職人の技術が失われ、昭和30〜40年代には10数軒あった曲物の産地としての姿が完全に途絶える - 鎌鍛冶(加世田鎌) 世界|スウェーデンのモーラナイフ鍛冶に代表される北欧の農具・刃物鍛冶の町(豊富な鉄資源と職人集積を背景に発展した農具・刃物の産地という成り立ちが共通)
もし消えたら=島津忠良の奨励に始まり、江戸末期には郷士の3割が従事したとされる470年におよぶ加世田鍛冶の歴史と、吹上浜の砂鉄を活かした鎌作りの技術が失われる - 和菓子職人 世界|パティシエ(仏)
もし消えたら=四季の微妙な移ろいを愛でる感性と、抹茶の苦味を引き立てる「控えめな美学」。 - 下駄職人 世界|オランダのクロンペン(木靴)職人
もし消えたら=夏祭りで下駄を鳴らして歩く音、雨の日に庭先で下駄を履いて出かける生活の所作 - 庭師・造園職人 世界|フランス式庭園の造園家(ル・ノートル流)/イギリス式風景庭園の庭師
もし消えたら=借景・枯山水など「見立て」によって狭い敷地に自然を凝縮する庭園技術と、庭を通じて四季を愛でる住文化。 - 印章職人(はんこ彫刻師) 世界|紋章・印璽の彫刻職人(シグネットリング彫刻師、ヨーロッパの蝋封印文化)
もし消えたら=一本の印材に名前を彫り込み、朱肉の色で押した瞬間に「本人であることが確定する」という日本独自の証明文化と、篆刻という書と彫りが一体になった工芸技術。 - 人形師(雛人形・五月人形) 世界|洋人形職人(欧州の磁器人形職人。ドイツ・フランス等)
もし消えたら=頭師・髪付師・小道具師等の工程ごとに分かれた分業体制と、宮中装束を寸分たがわず再現する着せ付けの技術、節句に子の成長を祈る通過儀礼の文化的な記憶。 - 熊野筆職人(書道筆・化粧筆) 世界|高級毛筆ブラシ職人(英国ケント・ブラシズ社等)
もし消えたら=江戸後期に近隣へ出稼ぎに出た農家が持ち帰った技術から始まり、一つの町がまるごと筆作りの技術系譜として発展してきた歴史と、複数の動物毛を配合して理想の穂先を作る「毛組み」という、書筆から化粧筆まで応用されてきた匠の勘。 - 和ろうそく職人 世界|欧州のチャンドラー(蝋燭職人、蝋燭職人ギルドの伝統)
もし消えたら=仏壇や神事で灯される「消えない炎」の伝統と、灯芯まで手作業で巻き上げる技法 - 和竿職人(江戸和竿) 世界|欧州のバンブーロッド職人(英国・米国のスプリットケーン式フライロッド工房)
もし消えたら=江戸時代から続く「魚に合わせて竿を誂える」オーダーメイド文化と、継ぎ手の漆塗り装飾技術 - 石燈籠職人(出雲) 世界|韓国の石塔・石灯籠(ソクドゥン)職人
もし消えたら=来待石という特定の石材だけが持つ加工のしやすさと経年変化の風合いを活かした石燈籠づくりの技術 - 岩谷堂箪笥職人 世界|イギリスのアンティーク家具職人(真鍮金具で装飾されたオーク材のチェスト・キャビネットを作る英国式指物の伝統)
もし消えたら=天明3年(1783年)の領主の産業振興策に始まる、拭き漆の木目と手打ち金具の彫金という組み合わせの技術。最盛期に150人ほどいた職人は現在約65人程度とされる - 型紙彫師(伊勢形紙) 世界|ヨーロッパの型染めステンシル職人(更紗・捺染用の型紙製作者)
もし消えたら=全国の染め物の型紙を支える上流産業としての地位と、錐彫り等の複数技法を使い分ける彫刻技術が失われる - 鬼師(淡路鬼瓦) 世界|欧州のガーゴイル・グロテスク彫刻職人(石造建築の魔除け彫刻師)
もし消えたら=約1300年前の藤原京時代にさかのぼるとされる歴史と、日本三大瓦産地の一つとして培われた「鬼師」の一点一点手作りの造形技術が失われる - 押絵羽子板職人(江戸押絵羽子板) 世界|欧州のバトルドア・アンド・シャトルコック(バドミントン起源の板と羽根の遊具)製作職人
もし消えたら=室町期永享4年(1433年)の宮中の記録にまでさかのぼる羽根つきの歴史と、文化文政期に爆発的に流行した「役者羽子板」という浮世絵文化と一体化した押絵の技術が失われる - 注染職人(越後本染注染手拭) 世界|インドネシアのバティック(ろうけつ染め)職人
もし消えたら=江戸時代初期に堺で確立され伊勢の型紙屋を通じて全国に広まった技法が新潟の地に根付き、260年以上続く染工場(越後亀紺屋・藤岡染工場)が2022年になってようやく県の伝統工芸品に認定されたという、評価の遅れそのものが物語る希少性が失われる - 陶芸家・窯元(大谷焼) 世界|スペイン・アンダルシア地方のティナハ(Tinaja)職人(オリーブ油・ワイン貯蔵用の大甕を作る窯元)
もし消えたら=230年以上続く伝統と、「寝ろくろ」という世界的にも珍しい二人挽き技法、最盛期に数十軒あった藍甕の窯元が現在は数軒にまで減った歴史 - 仏壇職人(彦根仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=木地・彫り・宮殿・塗り・金箔・蒔絵・飾り金具という「工部七職」の分業体制と、ホゾ穴を用い釘・ネジを使わず組み立てる構造技術、武具師の技を仏具へ転じた城下町ならではの技術系譜が失われる - 仏壇職人(京仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=40以上の職種が10工程に分業しながら各宗派の寺院建築を再現する総合工芸としての完成度と、8世紀の仏具製作にまで遡るとされる仏都・京都としての技術の厚み - 仏壇職人(三河仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=押入れという住空間の制約から生まれた「低い台」「うねり長押」という三河仏壇独自の意匠と、八職に分かれた分業体制 - 仏壇職人(山形仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=日本最北の仏壇産地として、最上川舟運が運んだ関西の技術と東北の欅・漆を融合させた、欅のほぞ組みによる頑丈な構造の技術系譜 - 仏壇職人(新潟・白根仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=ホゾ組みで解体・組立が容易なため100年後も塗り直して再生できるという、仏壇を「代々修復しながら使い継ぐ」ものにしてきた構造技術 - 仏壇職人(飯山仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=300年以上前から地域内で部品製作から組立までを一貫させてきた産地としての完結性と、弓長押によって宮殿をよく見せる意匠 - 仏壇職人(高岡仏壇) 世界|ドイツの家庭用祭壇(Hausaltar、私的な礼拝のための扉付き木製祭壇家具)
もし消えたら=高岡銅器の彫金技術を仏壇の錺金具に転用してきた、鋳物の町ならではの金工と仏壇製造の結びつき - 人形師(京人形) 世界|洋人形職人(欧州の磁器人形職人。ドイツ・フランス等)
もし消えたら=頭師・手足師・髪付師・小道具師・胴着付師という工程ごとの分業体制と、御所人形に代表される宮廷文化を人形に写しとる技術の系譜 - 人形師(岩槻人形) 世界|洋人形職人(欧州の磁器人形職人。ドイツ・フランス等)
もし消えたら=日光東照宮造営の工匠が持ち込んだ桐工芸の技術と、元禄期に確立した桐塑技法が結びついて生まれた、生産量・生産額で日本一とされる産地としての厚み - 人形師(江戸節句人形) 世界|洋人形職人(欧州の磁器人形職人。ドイツ・フランス等)
もし消えたら=わらと桐塑を組み合わせて胴体を作る「衣裳着人形」の技術と、精巧な甲冑を模した「江戸甲冑」という、京都とは異なる江戸独自の写実的な人形文化 - 人形師(駿河雛人形) 世界|洋人形職人(欧州の磁器人形職人。ドイツ・フランス等)
もし消えたら=衣装の上下を分けて仕立てることで分業・量産化を実現した合理性と、人形の印象を決める「振り付け」という腕曲げの技、胴体生産で全国の約7割を占めるとされる産地としての厚み - 漆器職人(京漆器) 世界|欧州のジャパニング職人(17〜18世紀フランス・英国、本物の漆が手に入らず代替塗料で漆器の艶を模倣した伝統)
もし消えたら=1200年続くとされる蒔絵の技法と、山科産の地之粉・砥之粉を使う下地技法によって生まれる、薄手でありながら堅牢な京漆器の完成度 - 指物師(大阪唐木指物) 世界|西洋の高級キャビネットメイキング(フランスのエベニスト=象嵌家具職人。輸入銘木を使い釘を使わず組み木で仕上げる伝統)
もし消えたら=紫檀・黒檀等の非常に堅い輸入銘木を釘無しで組む指物技法と、精製生漆で仕上げる「摺り拭き漆仕上げ」という、素材の硬さに向き合ってきた技術 - 漆器職人(大内塗) 世界|欧州のジャパニング職人(17〜18世紀フランス・英国、本物の漆が手に入らず代替塗料で漆器の艶を模倣した伝統)
もし消えたら=大内氏の交易品として海を渡った大内朱・大内菱の意匠と、一度は途絶えかけた技法を明治期の一発見から復興させたという産地の物語 - 三味線職人(奄美三味線) 世界|アメリカ・アパラチア地方のバンジョー職人(西アフリカ起源の弦楽器が新大陸で独自に変化した、動物皮の共鳴胴を持つ撥弦楽器の系譜)
もし消えたら=沖縄とも本土三味線とも異なる、蛇皮の薄さ・黄色い弦・返し撥奏法・独自記譜法という4つの識別点で語られる奄美の島唄伴奏文化。 - 印章職人(京印章) 世界|ヨーロッパの紋章彫刻・シグネットリング職人(貴族や個人の紋章を金属に彫り込み、封蝋に押して手紙や公文書を封印する)
もし消えたら=漢代の銅印の作風(漢印篆)を直接受け継ぐ、重厚で雅味豊かな書の伝統。天皇御璽や官印を彫った都・京都ならではの格式。 - 仏具職人(京仏具) 世界|欧州の聖具職人(カトリック教会向けの燭台・十字架・聖爵などを作るリタージカル・アート工房)
もし消えたら=打敷・過去帳・仏飯器・脇掛など、仏壇に安置する仏具一式を京都で総合的に仕立てられる産地の分業体制が失われ、「仏壇も仏具も京都で一式そろう」という完結性が崩れる - 欄間彫刻師(大阪欄間) 世界|英国のウッドカーバー(グリンリング・ギボンズの系譜を引く建築装飾木彫の職人)
もし消えたら=日本家屋特有の「風を通しながら飾る」彫刻建具の技術が失われ、和室の意匠選択肢の一つが消える - 木彫刻師(江戸木彫刻) 世界|ドイツ・オーバーアマガウの木彫り職人(教会の祭壇彫刻や宗教彫像を鑿で手掘りする、バイエルン地方の木彫り工房の系譜)
もし消えたら=数百本のノミを使い分けてノミの切り口だけで木の輝きを引き出す技術と、龍の鼻筋や人物の眼差しといった細部にまで宿る気品、百年二百年先まで残る耐久性を持つ建築装飾彫刻の系譜が失われる - 提灯文字師(江戸手描提灯) 世界|欧州の紋章画家(ヘラルド・ペインター。貴族や教会の紋章を手作業で描き込む、中世から続く欧州の専門職人)
もし消えたら=複雑な家紋も定規を使わずフリーハンドで、遠距離からの視認性を保ちながら描き切る技術と、明治期に提灯製造と分業化した『文字描き専門職』という江戸特有の職人体系が失われる - 北山丸太師(北山丸太) 世界|北米の化粧丸太(ハンドピール材)職人(皮を剥ぎ乾燥・研磨して仕上げる、高級ログホームや別荘建築向けの丸太仕上げ工房)
もし消えたら=皮剥ぎから天日干し、水磨きまで手間をかけて木肌を白く滑らかに仕上げる約600年の技術と、桂離宮・修学院離宮・島原角屋といった数寄屋建築の名品を支えてきた丸太産地としての歴史が失われる - 刃物鍛冶(人吉球磨刃物) 世界|英国シェフィールドの刃物鍛冶(かつて数百の工房がひしめいた「カトラリーの都」が、機械化と海外製品との競争で工房数を大きく減らしながらも高級ブランドとして存続する構図)
もし消えたら=最盛期に人吉市の鍛冶屋町に軒を連ねたとされる数十軒の鍛冶屋の記憶と、農具から包丁まで一貫して手打ちできる「地域の道具を地域で直し続ける」技術基盤が失われる - 家具職人(人吉家具) 世界|欧州のジョイナリー家具職人(釘を使わず木組みだけで仕上げる伝統的な家具職人。特にウィンザーチェアなど無垢材を組み手だけで仕上げる英国の家具職人と技法思想が近い)
もし消えたら=釘を使わず木組みだけで組み上げ、三世代にわたって修理しながら使い継ぐという人吉家具の思想そのものが失われる - 陶芸家・窯元(丸尾焼) 世界|英国スタジオポタリー運動の家族窯(大量生産の工業陶磁器に対抗し、素材の質感を活かした手仕事の器を家族経営で焼き継ぐ英国の窯元文化)
もし消えたら=1845年創業から5代170年以上続く金澤家の窯の系譜と、丸尾ヶ丘の赤土ならではの素朴な風合いが失われる - 刃物鍛冶(薩摩深水刃物) 世界|米国アパラチア地方の家族経営ブレードスミス(農具鍛冶から出発し、後年に台所刃物・ナイフ専門へ転じた家族経営の小規模鍛冶工房)
もし消えたら=1919年に南さつま市津貫から枕崎へ移り住んだ深水廣二に始まる家業の系譜と、南薩摩地域にかつて20件以上あったとされる鍛冶屋の中で農具から台所刃物へ転身し生き残った稀少な事例が失われる - 竹材師(京銘竹) 世界|イギリスの生垣用ヘーゼル(榛の木)林業家(コピシング〈台伐り〉という伝統的な森林管理法で、垣根・家具用の材木を計画的に育てて出荷する職人)
もし消えたら=平安時代に中国から伝わった竹が京都盆地の風土に適応して以来、江戸時代の将軍家御用の竹細工師の技を受け継ぐ、白竹・胡麻竹・図面角竹・亀甲竹という4種の竹材を育て上げる素材づくりの技術 - 竹工芸職人(京竹工芸) 世界|イギリス・サマセット地方のウィロー(柳)バスケット職人(伝統的な柳細工の産地で、実用品から美術工芸品まで幅広く手がける職人集団)
もし消えたら=京銘竹という高品質な素材と、茶道・華道の美意識に磨かれた、竹の質感をそのまま生かす京都の竹工芸の技術 - 琴職人(金沢琴) 世界|中国の古琴製作職人(漆と木を用いて七弦の伝統楽器を仕立てる、文人文化と結びついた中国の伝統工芸)
もし消えたら=江戸時代に武家の女性の教養として重んじられ、明治以降も城下町金沢の生活に根付いてきた琴文化と、蒔絵・螺鈿をふんだんに使い楽器の域を超えた芸術品に仕立てる金沢独自の装飾技術 - 織元(十日町明石ちぢみ) 世界|インド発祥・欧米へ伝わったシアサッカー(波状の凹凸を持つ夏物木綿地)織元
もし消えたら=化学処理を使わず撚糸の物理的な力だけでシボを生む江戸期以来の絹織り技術と、十日町が「日本三大着物産地」の一つとして担ってきた夏物絹織物の多様性 - 刺繍職人(加賀繍) 世界|英国の「オア・ヌエ」金糸刺繍職人(教会儀礼衣装のゴールドワーク刺繍)
もし消えたら=前田家の庇護のもとで磨かれた30種以上の技法を使い分ける高度な立体表現と、能装束・打掛という格式高い衣装文化そのもの - 染師(名古屋黒紋付染) 世界|英国ヴィクトリア朝の「喪服専門染色業者」(モーニング・ダイヤー)
もし消えたら=家紋を白く残しながら寸分の色ムラもなく黒く染め上げる、名古屋友禅黒紋付協同組合連合会が守ってきた染色技術と、慶弔両方を一枚の紋付が担うという日本の礼装文化 - 石工(岡崎石工品) 世界|イタリア・カラーラの大理石彫刻職人
もし消えたら=戦前には350軒を数えたとされる石工の町としての規模と、岡崎御影石という良質な花崗岩を生かした庭園石造物づくりの技術の蓄積 - 人形師(名古屋節句飾) 世界|ドイツ・エルツ山地のクリスマス木工人形職人(クルミ割り人形・煙出し人形等の季節儀礼人形)
もし消えたら=人形・幟旗類・雪洞という三分野を一体的に手掛ける全国でも珍しい産地構造と、尾張の商人文化が育てた嫁入り道具としての節句人形の格式 - 数珠職人(京念珠) 世界|ロザリオ職人(カトリック教会のロザリオ製作者、欧州)
もし消えたら=宗派ごとに珠の数・房の結び方まで異なる数珠を一珠ずつ手で結ぶ技術と、京都が珠数生産の9割を担ってきた分業の産地構造。 - 線香職人(淡路島) 世界|アガルバッティ職人(インドの線香職人)
もし消えたら=椨の樹皮粉末を練り、型から押し出して天日で乾かす工程を熟練の勘だけで管理する技術と、淡路島が線香生産で日本一を占めてきた産地の記憶。 - 高岡銅器職人 世界|欧州の鐘鋳造職人(英国ホワイトチャペル鋳造所、イタリアの教会鐘鋳造工房の系譜)
もし消えたら=全国シェアの多くを占める鋳物産業の生産基盤と、13種の鋳造技法を使い分ける多品種生産体制 - 石燈籠職人(真壁) 世界|イギリスのストーンメイソン(教会・墓地の石工職人)
もし消えたら=笠・火袋・竿を別々に彫って組み上げる石燈籠づくりの18の技法と、雪見型・春日型といった伝統意匠を今の感覚で作り続ける技術 - 木目込人形師(江戸木目込人形) 世界|ドイツの木彫り人形職人(エルツ地方のくるみ割り人形・天使人形等)
もし消えたら=縫わずに衣装を表現する木目込みという独自技法と、埼玉・岩槻に集積した人形の町の産業基盤が失われる - 陶芸家・窯元(京焼・清水焼) 世界|ドイツ・マイセン、フランス・セーブルの磁器窯
もし消えたら=慶長十年(1605年)の文献に初めて「京焼」の語が現れて以来400年続く、一つの都市に多様な窯が併存し互いに技を競い合う「京都という産地そのもの」の生態系が失われる - 陶芸家・窯元(壺屋焼) 世界|ヨーロッパの磁器工房(マイセン、ドイツ)
もし消えたら=東アジアの交易と王府の政策が交差して生まれた、上焼(実用の日用品)と荒焼(魔除けのシーサー等)という2系統が同じ産地に共存する技術体系 - 人形師(江戸衣裳着人形) 世界|欧州の衣装人形職人(フランス・ドイツのビスクドール等、本仕立ての衣装を縫って着せ付ける人形師の系譜)
もし消えたら=胡粉を5回以上塗り重ねる肌の質感と、瞼の開き具合や目の距離で表情を作り分ける面相描きの技術、100以上の工程を経て本仕立ての衣裳を着せ付ける総合技術が失われる - 仏具職人(尾張仏具) 世界|欧州の教会金工職人(聖杯・聖遺物箱等のキリスト教会用具を作る金工・木工職人)
もし消えたら=全国で尾張地方でしか作られていないとされる木魚をはじめ、鋳物・鍛金・木彫・漆・蒔絵という細分化された分業体制でしか成立しない仏具づくりの技術網 - 提灯職人(岐阜提灯) 世界|彫刻家イサム・ノグチが手掛けた「AKARI」照明彫刻シリーズの版元(岐阜提灯の技術を現代照明に転用した例)
もし消えたら=400年の歴史を持つ竹ひご一本を螺旋状に巻く提灯骨組みの技術と、イサム・ノグチのAKARIシリーズを通じて世界のデザイン史に組み込まれた岐阜提灯の文化的地位 - 塩沢紬の織元 世界|スコットランド・ハリス諸島のハリス・ツイード職人(島の自宅で手織りされ、原産地呼称で保護される毛織物の職人)
もし消えたら=越後上布の麻織り技術を絹に応用して生まれた「蚊絣」という、肉眼では判別しづらいほど細かい絣文様と、真綿から手で紡いだ糸ならではの柔らかな着心地 - 和紙職人(越中和紙) 世界|韓国の韓紙(ハンジ)職人(楮を原料とし、伝統医薬品の包装や公文書に使われる手漉き紙の職人)
もし消えたら=「越中富山の置き薬」を包んできた実用の紙という成り立ちと、蛭谷和紙では集落にただ一軒残っていた漉元から2003年に外部の紙漉き作家が技術を口伝で受け継ぎ存続させたという再生の物語 - 仙台箪笥職人 世界|ドイツ・ニュルンベルクの鉄製宝物箱職人(錠前師が手がける、精緻な鍛鉄金具で装飾された箪笥・箱の系譜)
もし消えたら=武具づくりの技術を持つ職人たちが明治維新後に箪笥金具へと転じたという成り立ちと、木目が縦横に光る「玉虫塗」の艶、龍や唐草を透かし彫りにした重厚な手打ち金具 - 組紐職人(京くみひも) 世界|フランスのパスマントリー(passementerie)職人(軍服の飾緒や家具の房飾りを手がける、組紐・房飾りの専門職人)
もし消えたら=平安時代より神具・仏具・武具の紐として使われてきた歴史と、丸台・角台・高台など組み方によって数百通りの文様を生み出せる技術の幅
ほかの理由から探す:担い手が続かない(341) 原料が採れなくなった(81) 安い代替品に置き換わった(72)