日本の生業と、世界の似たサービス > 毛鉤職人(播州毛鉤)
毛鉤職人(播州毛鉤)世界の似たサービス ─ スコットランド・イングランドのフライタイヤー(毛針結い職人)
天保年間(1830〜1843年)に地元の行商人が京都から製法を持ち帰り広めたとされる
共通の目的鳥の羽根や糸を鉤に巻き付け、魚を騙す疑似餌を作る
やり方が、どう違うのか
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、
世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=アイルランドのサーモンフライ職人(羽根の種類・巻き方の体系化という点で技術系統が近い参考比較)
なぜ違いが生まれたのか
日本は渓流という狭く流れの速い川で小型の魚を狙うため、極小の鉤と地味な色合いが発達した。西洋は広い川・湖でのサーモン漁のため、大型で装飾的な毛鉤が発達した
五感で味わう価値・職人のこだわり
- 出会える舞台・空間|播州毛鉤づくりは現在、兵庫県西脇市と多可郡黒田庄町を中心に営まれており、同じ地域で作られる漁業用釣り針の産地(南部の東条町)とは南北に分かれている。西脇市・黒田庄町のいずれも、全国生産額の9割以上をこの地域で占める。播州釣針協同組合は毛鉤の歴史や伝統工芸士を紹介するサイトを運営し、毛鉤づくりの16工程を写真つきで公開しているほか、ギャラリーでは伝統工芸士の作品を紹介している。
- 五感|底漆を塗ってから金箔を貼り、鉤先には漆でつくった玉に重ねてさらに金箔を貼る「先玉付け」を施す。胴には絹糸を巻きつけるが、糸の重ね方だけで「すきあけ巻き」「つめ巻き」「ぼかし巻き」など何通りもの表情が生まれ、羽根を思わせるみの毛・追毛をつけて仕上げる。わずか1cmほどの鉤の上で、金箔の輝きと漆の艶、絹糸の巻き目という異なる質感が重なり合う。毛鉤はもともと川魚のいる水面に「蠅」に似せて落とすための疑似餌で、古い呼び名も「蠅頭」だったとされ、金箔を使う記述は元禄16年(1703)の文献にすでに見られるという。
- 異常なこだわり|完成までに底漆塗・金箔貼付け・先玉付け・しけ糸付け・テグス付け・先巻き・胴巻き・ツノ付け・帯巻き・元巻き・みの毛付け・追毛付け・玉付けなど16の工程を経る。胴巻きだけでも「すきあけ巻き」「つめ巻き」「ぼかし巻き」など複数の巻き方があり、江戸後期の弘化元年(1844)頃には地針にカエリを付ける「剣」もの、嘉永5年(1852)頃には焼き入れ、安政6年(1859)には地針の磨きと、改良が一つずつ積み重ねられてきた。技術を高めるために京都や金沢まで研修に出かけた職人もいたと伝えられており、産地の外に技術を学びに行くこと自体が、この工芸の質を支える取り組みの一つになっていた。
- 外国人の驚き|わずか1cmほどの釣り針に、金箔や漆、絹糸を使って16もの工程を積み重ねるという手間のかけ方に驚く外国人が多いという。明治40年(1907)の水産共進会では、兵庫県の出品コーナーが「一見花かんざし屋の観あり」と評されるほど毛鉤で埋まったと伝わり、実用の釣り道具でありながら装飾品のような見た目になることへの驚きも語られている。
- 豆知識|播州毛鉤の発祥ははっきりしないが、多可郡比延村(現西脇市比延町辺)の行商人・中島屋卯兵衛が、京都堺町五条上ルの油屋佐兵衛から花丸や並蚊頭などの毛鉤を仕入れて売り歩いた記録が残る。下久米村(現社町)の彦兵衛が嘉永4年(1851)に土佐の技術を学んで釣り針づくりを始めたのが地元生産のはじまりとされる。明治40年の共進会では石川県の毛鉤(加賀毛鉤)が高い評価を受け、播州毛鉤は出品者26名中受賞者3名にとどまったという記録も残っており、大正末から昭和初期には価格の安さで東京へ大量出荷されるようになった。昭和62年(1987)4月18日、経済産業大臣(当時の通商産業大臣)から伝統的工芸品の指定を受けている。この地の生産はそこから周辺の村へと広がっていったことが記録から分かっている。高知県の四宮琴という人物が播州毛鉤に学び、「土佐四宮毛鉤」という新たな系統を興した交流の記録も残る。第二次世界大戦中には、材料の鉄線や金箔を配給として割り当ててもらうために組合が結成されており、いまの播州釣針協同組合はその流れをくんでいる。
もし消えたら、何が失われるのか
| 事業者数(現在) | —(未確認) |
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| 事業者数(ピーク時) | —(未確認) |
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| ピークの年 | ─ |
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| 統計の基準年 | ─ |
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| 後継者不足度 | ★★★★☆ |
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| 統計の出典URL | ─ |
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失われるもの(数字にならないもの)
渓流釣りの疑似餌としての実用と、金箔・漆で仕上げる装飾美の両立という播州の技術が失われる
いま直面している問題
渓流釣り人口の減少、羽根素材の入手難、後継者不足
出典
産地|兵庫県西脇市・多可町(兵庫県) 世界の対比先|その他・分類なし
English: Banshu Kebari (Banshu fishing fly)(A Banshu kebari maker wraps a few strands of bird feather and silk thread around a hook smaller than a centimeter, finished with gold leaf and lacquer for river trout fishing.)