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檜皮葺職人(屋根葺師)世界の似たサービス ─ イギリスの茅葺き職人(サッチャー)

飛鳥時代(7世紀後半)には既に用いられていたと考えられ、平安時代には瓦葺きよりも格式の高い屋根工法として神社建築や宮殿建築に広く使われるようになった。現在残る技法の原型は鎌倉時代以降に成立したとされる。

共通の目的植物由来の自然素材だけで屋根を葺き、雨風から建物を守りながら独特の美しい屋根の表情をつくる

やり方が、どう違うのか

日本|檜皮葺職人(屋根葺師)世界|イギリスの茅葺き職人(サッチャー)
アプローチ麦わら・葦(アシ)等の茎を束ねて屋根下地に何層にも重ねて縛り付け、鋭く切り揃えた分厚い層で急勾配の屋根を覆う
使う道具(日本側)
使う素材(日本側)

⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、 世界側の比較値は作っていません)。

もうひとつの世界の対比例=中国・雲南等の伝統的な樹皮葺き民家の屋根職人。木の皮を屋根材にするという発想は共通するが、格式の高い宗教建築ではなく庶民の民家に使われてきた点が異なるアジア圏の対比先(一次資料での裏付けは未確認のため参考情報)。

なぜ違いが生まれたのか

日本は多雨多湿な気候の中でヒノキという水に強く香り高い木が豊富に育ち、神社仏閣という格式高い建築の屋根材として檜皮が選ばれた。イギリスは穀物栽培が盛んで麦わらが大量に手に入りやすく、農家の屋根材として茅葺きが発達した。

五感で味わう価値・職人のこだわり

もし消えたら、何が失われるのか

事業者数(現在)—(未確認)
事業者数(ピーク時)—(未確認)
ピークの年—(未確認)
統計の基準年─
後継者不足度★★★★★
統計の出典URL─

失われるもの(数字にならないもの)

檜皮という天然素材だけで曲線を描く、瓦にはない柔らかな屋根の表情と、1976年に文化庁の選定保存技術に指定されたほど希少な、原木からの一貫した技術継承。

いま直面している問題

檜皮の供給不足(樹齢80年以上のヒノキの立木からしか採取できず、林野庁が「檜皮採取対象林」を設定して安定供給に取り組んでいる)、職人・道具制作者の減少(文化財建造物保存技術協会が公式に課題として明記)、原材料となる優良な立木そのものの入手難。

もっと詳しく|いま、この仕事はどうなっているのか

数字はすべて、その場で出典の名前と取得日を添えています。確かめられなかったことは「確かめられなかった」と書いています。

檜皮葺の屋根は、日本にどれだけ残っているのか

林野庁近畿中国森林管理局が公式サイトで示すところによれば、檜皮葺の建造物は国指定重要文化財だけでも約700棟あるという。これを35年周期で葺き替えるとすると、年間約210トン、立木に換算すると年間でヒノキ約3万5千本分の檜皮が必要になるとされる(林野庁近畿中国森林管理局「檜皮採取試験」、取得日2026-08-15)。

なぜいま、檜皮の供給が心配されているのか

同じページによれば、檜皮生産は3つの理由で先行きが心配されている。伝統的な技法で檜皮を採取する「原皮師(もとかわし)」と呼ばれる技術者が減っていること、檜皮に適した樹齢70〜80年以上のヒノキの立木が減っていること、そして檜皮の採取が生きた立木の成長や材質に悪影響を及ぼすのではないかという懸念から、採取に協力する森林所有者が減っていることである(同)。

これに対応するため、近畿中国森林管理局は平成13年度、80年生以上のヒノキ人工林を対象に「檜皮採取対象林」を設定し、檜皮葺の技術保存団体である公益社団法人全国社寺等屋根工事技術保存会と、檜皮の販売に関する協定を結んだ。この取り組みを通じて、京都御所、伊勢神宮、出雲大社、春日大社、厳島神社、清水寺など、多くの社寺仏閣に檜皮葺きの資材が供給されてきたという(同)。

檜皮を剥いでも、木は本当に大丈夫なのか

近畿中国森林管理局は、京都市左京区の鞍馬山国有林と、山口県岩国市の城山国有林で、約100年生のヒノキ人工林を使い、平成12年度から令和5年度までの予定で「檜皮採取試験」を行っている。剥皮による木への影響を調べる試験で、樹幹の目視調査、胸高直径調査、成長錐による年輪調査、樹皮の色度調査などを重ねてきたという(同)。これまでのところ、鞍馬山・城山のいずれの試験地でも、剥皮による樹勢や成長への悪影響は見られていないという(同)。1回目の剥皮から約5年後には、剥いだ木の樹皮の色が、剥いでいない木の色調にほぼ近づいたという調査結果も示されている(同)。

葺き替えは、何年に一度なのか

檜皮葺の耐久年限をめぐっては、資料によって記載が少し違う。兵庫県丹波市の社寺屋根工事業者・友井社寺の公式サイトは「国宝・重文などの檜皮葺建物の屋根は、檜皮の耐久年限とされる三十~四十年の周期で適時葺き替えられ」と説明している(友井社寺公式サイト、取得日2026-08-15)。一方、林野庁近畿中国森林管理局のページでは、必要な檜皮の量を「35年周期で葺き替える」という前提で計算している(同、取得日2026-08-15)。どちらも一つの目安を示すものであり、30年から40年という幅の中に35年という数字も収まってはいるが、両者が同じ根拠に基づく数字かどうかは、今回の材料からは確認できなかった。

一坪に竹釘2,400本、口に含んで打つとはどういうことか

友井社寺の公式サイトによれば、檜皮葺に使う竹釘は、一坪(3.3平方メートル)あたり平葺の箇所だけで2,400本から3,000本という膨大な量が必要になる。「葺師」はこの竹釘を20〜30本ほど口の中に含み、舌先で1本ずつ向きを揃えて選び出しては、屋根金槌のふせ金部分にあてがい、木槌で数回叩いて打ち留めていくという(同)。片方の手で葺材を押さえたまま、もう片方の手だけで竹釘を打つ技術だという(同)。檜皮葺は30年から40年で葺き替えなければならないが、竹釘そのものは葺き替え時期が来ても傷みがないともいう(同)。檜皮葺は、優良な檜皮を調達する「原皮師」、膨大な留め釘を製作する「竹釘師」、屋根を葺く「葺師」という三者の分業によって支えられている(同)。

茅葺き職人と何が違うのか

檜皮葺と、イギリスの茅葺き職人(サッチャー)は、植物由来の自然素材だけで屋根を葺き、雨風から建物を守るという点では共通する。ただしつくり方は違う。檜皮葺は、ヒノキの立木から剥ぎ取った樹皮を、幅数センチ・厚さ数ミリの薄さで1〜2センチずつずらしながら何十層にも重ね、竹釘だけで打ち留めて、厚みのある柔らかな曲線の屋根をつくる。茅葺きは、麦わらや葦(アシ)などの茎を束ねて屋根下地に何層にも重ねて縛り付け、鋭く切り揃えた分厚い層で急勾配の屋根を覆う。日本は多雨多湿な気候の中でヒノキという水に強く香り高い木が豊富に育ち、神社仏閣という格式高い建築の屋根材として檜皮が選ばれた。イギリスは穀物栽培が盛んで麦わらが大量に手に入りやすく、農家の屋根材として茅葺きが発達した。

出典

出典

産地|京都市(社寺建築の集積地)/奈良県(法隆寺等の文化財修復)(奈良県) 世界の対比先|欧州

English: Hiwadabuki Roofer (Cypress Bark Roof Craftsman)(A hiwadabuki roofer layers thin strips of hinoki cypress bark, shingle by shingle, pinning them only with bamboo nails to create the soft curved roofs of Japan's most prestigious shrines and temples.)