日本の生業と、世界の似たサービス > 甲州印伝職人
甲州印伝職人世界の似たサービス ─ スペインのコルドバ革職人(グアダメシ、金箔を使う型押し・彩色革の伝統)
江戸時代(1582年創業の印傳屋が最古参とされ、技法の起源はさらに遡るとされる)
共通の目的なめした革の表面に型を使って模様を施し、丈夫で美しい革製品を作る
やり方が、どう違うのか
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、
世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=モロッコの金唐革(なめし革に金箔で模様を施す伝統、コルドバ革の源流の一つ)
なぜ違いが生まれたのか
日本は武具(鎧の胴・弓懸等)に鹿革が使われた延長で、漆を使った軽く柔らかい装飾が発達した。欧州はイスラム文化圏の影響で金箔を多用する重厚な装飾革が発達した
五感で味わう価値・職人のこだわり
- 出会える舞台・空間|山梨県甲府市中央の印傳屋本店2階にある印傳博物館。入館料は一般200円、小・中学生100円、開館時間は10時から17時。江戸時代以前から昭和前期の古典作品、復原模造品、現代作品を年4回の企画替えで展示する。もう一つの老舗、印傳の山本(甲府市朝気3-8-4)は、明治期に上原商店(現・印傳屋)で修業した山本金之助が独立して興した。祖は増穂村小室の名主だった山本甚平と伝わり、二代目・誠は平成8年に甲州印伝伝統工芸士(総合部門)の認定試験に合格している。
- 五感|型紙を重ねてヘラで漆を刷り込む漆付け技法では、鹿革の起毛にウルシオールを含む天然樹液が沈んでいく艶と質感が指先に伝わる。燻べ技法では「タイコ」という筒に張った鹿革へ藁の煙を一日半ほど当て続け、茶褐色の濃淡が徐々に深まっていく匂いに包まれる。更紗技法は色漆を型紙ごとに重ねるため、一枚の革の上で色が層になって浮かび上がる。
- 異常なこだわり|漆付け技法の熟練には「漆付け三年」といわれる修業が必要とされる。印傳屋の伝統工芸士・大森幹雄は漆一筋25年、多いときで一日に1,000枚もの革に漆を置きながら、そのうち1つも失敗しないことを自らの課題にしているという。印傳の山本の山本裕輔は「時間にすると5秒6秒ですが、それですべてが決まってしまう」と漆付けの一瞬の判断を語り、力加減は父親と何ひとつ同じものがないという。漆は天然樹液で、その年に採った漆を翌年に使い、湿度によって乾き方が変わるため冬場は特に乾きづらい。燻べ技法は奈良時代から1,200年の歴史を持つとされる。
- 外国人の驚き|鹿の革に漆で模様を描く、型紙とヘラだけの技法で1日に1,000枚もの革を仕上げる職人がいることに驚かれる。しかも「そのうち1つも失敗しない」ことを自らの基準にしている。革を筒に張って藁で燻す燻べ技法は染料を使わず、煙の量と時間だけで茶褐色の濃淡を変える。漆付けから縫製まで一人の職人が最後まで責任を持つ一貫製作体制をとる工房もあり、2014年からは「URUSHINASHIKA」というプロジェクトで100社を超える企業とのコラボレーションも行われている。山本裕輔は2021年時点で、甲州印伝伝統工芸士の称号を持つ日本で唯一の職人とされる。
- 豆知識|印伝の名は、寛永年間にインド装飾革が幕府に献上されたことに由来するという説がある。貞享二年の『京羽二重』、1802年刊行の十返舎一九『東海道中膝栗毛』にも「印伝」の記述が残る。1854年の「甲府買物独案内」には甲州の産地としての記述があり、明治期には信玄袋などが博覧会で褒章を受けた。昭和62年4月に国の伝統的工芸品、平成6年10月に山梨県郷土伝統工芸品に指定されている。甲府印伝商工業協同組合の設立年は、印傳屋の資料では1974年(昭和49年)、印傳の山本の資料では1975年(昭和50年)と、資料によって表記が分かれる。印傳屋は遠祖・上原出来兵衛が天正10年(1582年)に武田氏の武具製作を手がけたのが始まりと伝わり、江戸後期に六代・上原理右衛門が甲府へ移り住んで以降、代々「上原勇七」を襲名している。紋様には武士の精神を象徴するとされる「小桜柄」が使われ、2022年には十四代として上原重樹が代表取締役社長に就いた。
もし消えたら、何が失われるのか
| 事業者数(現在) | —(未確認) |
|---|
| 事業者数(ピーク時) | —(未確認) |
|---|
| ピークの年 | —(未確認) |
|---|
| 統計の基準年 | —(未確認) |
|---|
| 後継者不足度 | ★★☆☆☆ |
|---|
| 統計の出典URL | —(未確認) |
|---|
失われるもの(数字にならないもの)
鹿革に漆で模様を置くという世界でも類を見ない技法と、400年続く老舗が支える産地
いま直面している問題
原料の鹿革を海外からの輸入に依存、後継者育成に長期の修業が必要
出典
産地|山梨県甲府市(山梨県) 世界の対比先|欧州
English: Koshu Inden (lacquered deerskin leather)(Soft tanned deerskin with a raised lacquer pattern stenciled onto its surface, a combination of materials unique to Japanese leathercraft.)