日本の生業と、世界の似たサービス > 雲州そろばん職人
江戸時代後期(1830年頃、奥出雲町亀嵩の村上吉五郎が広島の算盤を参考に製作したのが起源とされる)
| 日本|雲州そろばん職人 | 世界|中国の算盤(суанpan、上二玉・下五玉の伝統的な珠算具) | |
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| アプローチ | 玉の材料に堅く木目の詰まった樺等を使い、奥出雲のたたら製鉄由来の金属加工技術を軸すり等に応用し滑らかな弾きを実現する | 上二玉・下五玉の伝統的な配置で、多様な度量衡の換算にも対応できるよう玉数を多く残した |
| 使う道具(日本側) | ろくろ(玉挽き用)、ひご(軸材)、火造り台 | |
| 使う素材(日本側) | 樺等の木材(玉)、玉の軸(金属または竹) | |
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、 世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=ロシアの計算盤「スチョーティ」(10進法だが列ごとに玉を横に通す構造が異なる)
播州が学校教育向けの実用量産に特化したのに対し、雲州(奥出雲)はたたら製鉄の里という土地柄、金属加工の精密さが木工にも応用され、質感を追求する高級な工芸品としての方向に発達した
| 事業者数(現在) | —(未確認) |
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| 事業者数(ピーク時) | —(未確認) |
| ピークの年 | —(未確認) |
| 統計の基準年 | —(未確認) |
| 後継者不足度 | ★★★★★ |
| 統計の出典URL | —(未確認) |
最盛期に年100万丁を製造した産地の記憶と、たたら製鉄の里ならではの精密な軸加工技術
職人の激減(報道によれば最盛期約800人→現在10人ほど)、電卓・PC普及による実用需要の消滅
数字はすべて、その場で出典の名前と取得日を添えています。確かめられなかったことは「確かめられなかった」と書いています。
そろばんの産地というと播州(兵庫県小野市周辺)を思い浮かべる人が多いかもしれない。だが島根県奥出雲町にも、もう一つのそろばん産地がある。「雲州そろばん」と呼ばれるこの産地は、電気を使わず玉を指で弾いて計算するという点では播州や中国の算盤(そろばんの原型となった珠算具)と同じ道具を作りながら、まったく違う方向に発達したとされる。
播州が学校教育向けの実用量産に特化したのに対し、雲州(奥出雲)はたたら製鉄の里という土地柄から発達したという。奥出雲は古くから砂鉄を原料にした製鉄「たたら」で知られる地域で、その金属加工の精密さが、そろばんの珠を通す軸の仕上げなど木工の部分にも応用されたという。結果として、質感を追求する高級な工芸品としての性格を強めていったとされる。
いいものしまねの解説によれば、雲州そろばんは江戸時代後期の天保年間、奥出雲の大工・村上吉五郎が芸州(広島)のそろばんを参考に、地元の材料で作り上げたのが始まりとされる(いいものしまね「雲州そろばん」、取得日2026-09-15)。吉五郎の技は一子相伝だったが、その精巧さに魅せられた地元の大工たちが自ら道具や加工組み立てを工夫し、技術を公開したことで、奥出雲にそろばん造りの土台ができあがったという(同、取得日2026-09-15)。枠に黒檀や紫檀、珠に黄楊や樺を用いたそろばんは、その美しさと軽妙な珠はじきで評判を呼び、「そろばんといえば雲州」と言われるほどになり、行商人の手で全国に販路を広げていったという(同、取得日2026-09-15)。
素材加工から仕上げまで183もの工程を要するとされ、いいものしまねはこれを「匠の技の集大成」と表現している(同、取得日2026-09-15)。珠は梅や樺、黒檀などの硬い木から荒玉を作り、口取り・中穴ざらい・仕上げ削り・面取り・染色・つや出し・仕上げ穴ざらいという段階を経る。中でも珠の形を揃える仕上げ削りは最も重要とされ、独自に開発した手廻しろくろを使い、荒玉を刃物で丹念に削って同じ形に仕上げる高度な熟練の勘が要求されるという。単なる計算機ではなく、精緻な工芸美術品としての価値も高めているとされる(同、取得日2026-09-15)。
雲州そろばんについて調べていくと、似た名前の組織が二つ出てくることに気づく。
一つは、いいものしまねの製造業者一覧に載る「雲州算盤協同組合」で、所在地は島根県仁多郡奥出雲町横田992-2、電話番号は0854-52-0369とある(いいものしまね「雲州そろばん」、取得日2026-09-15)。この電話番号は、そろばんの拠点として1990年に設立された「雲州そろばん伝統産業会館」の問い合わせ先とまったく同じ数字である(奥出雲町公式観光ガイド「雲州そろばん伝統産業会館」、取得日2026-09-15)。
もう一つは、そろばんの通信販売サイトを運営する「雲州そろばん協業組合」で、こちらの所在地は島根県仁多郡奥出雲町下横田76-5、電話番号は0854-52-0839と、住所も電話番号も異なる(雲州そろばん協業組合公式サイト、取得日2026-09-15)。同組合の公式サイトには「製作から販売・修理まで一貫したサービスを。」「100年前から変わらない伝統と技術をお届けするために、次の100年に向けても私たちは挑戦し続けます」とある(同、取得日2026-09-15)。
「協同組合」と「協業組合」、一文字違いのこの二つが同じ組織の呼び方の揺れなのか、それとも別法人として現存するのかは、今回集めた材料の中では確認できなかった。ただ、少なくとも住所・電話番号という一次情報の水準では、二つの別々の連絡先が存在することは確認できる。
雲州そろばんの担い手がどれくらい残っているかについて、産地の公式統計そのものは今回の材料の中には見当たらなかった。ただし2026年8月ごろ、共同通信配信で山陰中央新報などの地方紙に載った報道は、「最盛期に職人約800人、現在10人ほど」と伝えているという(共同通信配信、山陰中央新報等、2026年8月報道)。この数字は組合の公式統計ではなく報道内の言及であり、記事本文そのものは今回の材料からは確認できなかったため、あくまで報道ベースの数字として受け止める必要がある。
雲州そろばん伝統産業会館は、島根県仁多郡奥出雲町横田992-2、JR出雲横田駅のすぐ隣にある(奥出雲町公式観光ガイド「雲州そろばん伝統産業会館」、取得日2026-09-15)。1987年に通商産業省(現・経済産業省)の伝統的工芸品指定を受け、1990年にこの会館が設立されたという(同、取得日2026-09-15)。
営業時間は9時から16時30分まで、休業日は火曜日(祝日の場合は開館し翌日休館)と年末年始12月28日から1月4日。入館料は個人で一般310円、高校・大学生210円、小・中学生150円、20名以上の団体はやや割引がある(同、取得日2026-09-15)。展示資料室では、横田がどのようにして現代日本のそろばん発祥の地となったかという歴史から、伝統技術、原材料、工具、製造工程、古来から現代までの名工の作品までを見ることができるという(同、取得日2026-09-15)。
なお、雲州そろばんの伝統的工芸品指定の年については、材料の中で食い違いが見つかった。奥出雲町公式観光ガイドは「1987年通商産業省(現:経済産業省)の伝統的工芸品の指定を受けました」としている一方(同、取得日2026-09-15)、いいものしまねは「雲州そろばんは昭和60年に国の伝統的工芸品に指定されています」としている(いいものしまね「雲州そろばん」、取得日2026-09-15)。昭和60年は西暦1985年にあたり、1987年とは2年のずれがある。どちらが正確かは、今回の材料からは判断できなかった。
English: Unshu Soroban (Japanese abacus from Okuizumo)(An abacus made in a region famous for centuries of traditional iron-smelting (tatara), where that same precision metalwork tradition carried over into shaping the axles the beads slide on.)