日本の生業と、世界の似たサービス > 挽物師(戸河内挽物)
挽物師(戸河内挽物)世界の似たサービス ─ イギリスのウッドターナー(木工ろくろ職人、伝統的なろくろを用いてボウルや家具部材を挽き出す職人)
明治中頃(石田富次による伝来)
共通の目的ろくろを回して木材を削り出し、丸みを帯びた器物を仕立てる
やり方が、どう違うのか
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、
世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=スウェーデンの木工ろくろ職人(北欧の伝統的な家具製作を支える、ろくろ挽きの木工技術)
なぜ違いが生まれたのか
戸河内挽物は明治の中頃に島根県から戸河内町に移住してきた石田富次が木地及び漆塗りの技術を伝えたことに始まり、同じ戸河内の刳物とは異なるろくろを使う技法として発達した。イギリスのウッドターニングは中世からギルド制度のもとで発達した専業の木工技術として、家具産業と結びついて発達した
五感で味わう価値・職人のこだわり
- 出会える舞台・空間|安芸太田町戸河内にある「奥安芸の漆館」は、木地師・新宅智也さんが2010年に開いた工房兼販売所。1階ではすし鉢や盆、花立といった戸河内挽物の器を実際に手に取って質感を確かめながら購入でき、2階のガラス扉で仕切られた「漆塗り部屋」では、予約制で漆塗りの作業を安全に見学できる。中国自動車道戸河内インターから約4kmの立地にあり、Instagramでも「奥安芸漆」の名で日々の作業が発信されている。
- 五感|木地は橡(とち)・欅(けやき)・朴(ほお)といった木を、原木の丸太から木取りして生木のまま木工ろくろで大まかに挽く「荒挽き」から始まる。1年以上自然乾燥させたのち、乾燥で生じた歪みを削り取る「中ぐり」を経て、再び1年ほど乾かしてから仕上げに入る。器の表面は刃物の切れ味だけで滑らかに仕上げられ、光沢を放つ。木地には漆をたっぷり染み込ませて丈夫にする「木地固め」を施したうえで、麻布を漆で貼り重ねた下地をつくり、10回ほど塗っては漆室で1週間乾かす工程を繰り返してようやく艶が生まれる。
- 異常なこだわり|「鍛冶屋ができないと木地師はできない」と言われ、器の形に合わせて使う刃物は自分で作る。原木から器が仕上がるまでに約2年、下地に米糊と漆を混ぜて麻布を貼り、砥粉と漆を混ぜて麻布を覆い隠すという手間をかけたうえで塗り重ね、完成までにさらに約3年をかける。かつては木地師と塗師の分業だったが、今は1人の職人が伐り出しから木地挽き、漆の精製、塗りまで全工程をひとりでこなす。使う漆も、2005年に山に残っていたウルシの切り株から根を採り、雪の中を掘り起こして苗を育てるところから始め、10数年後の2017年にようやく自分の手で「漆掻き」ができるようになった自家栽培の「奥安芸漆」である。
- 外国人の驚き|漆さえも買わず、ウルシの木を自分の山に植えて育てるところから始めているという徹底ぶりに驚かれる。切り株しか残っていなかった木から根を採って苗を育て、実際に漆が採れるようになるまでに10数年を費やしたという話は、量産を前提にしない一点物の工芸ならではの時間感覚として特に意外に受け止められる。刃物まで自分で鍛えるという分業を超えた職人像も驚きの一つとされる。すし鉢のような日用の器一つに、原木から仕上がりまで約3年もの歳月がかけられているという事実にも驚く人が多い。
- 豆知識|戸河内挽物は明治33年(1900)、島根県から移住してきた石田富治氏が木地・漆塗りの技術を伝えたのが始まりとされる。当時は木地師と塗師による分業制だったが、今は新宅智也さん一人が全工程を担う。広島県指定伝統的工芸品としては平成3年(1991)4月8日に初めて指定され、平成19年(2007)12月10日にも指定を受けている。かつては増谷芳五郎氏(2013年8月30日逝去)も担い手の一人だった。1976年広島県生まれの新宅さんは2005年に工房を開設、2010年に「奥安芸の漆館」を開いた。
もし消えたら、何が失われるのか
| 事業者数(現在) | —(未確認) |
|---|
| 事業者数(ピーク時) | —(未確認) |
|---|
| ピークの年 | —(未確認) |
|---|
| 統計の基準年 | —(未確認) |
|---|
| 後継者不足度 | ★★★★☆ |
|---|
| 統計の出典URL | —(未確認) |
|---|
失われるもの(数字にならないもの)
明治中頃に島根県から移住してきた石田富次が伝えたろくろ挽きと漆塗りの技術と、同じ戸河内の刳物とは異なる系譜の木工技術
いま直面している問題
同じ戸河内刳物と同様、プラスチック製品の普及による実用需要の縮小、後継者不足
出典
産地|広島県安芸太田町戸河内(広島県) 世界の対比先|欧州
English: Togochi hikimono (Togochi lathe-turned woodware)(Togochi hikimono are lathe-turned wooden trays and vessels, sometimes lacquered, whose technique was brought to Togochi from Shimane Prefecture by craftsman Tomiji Ishida in the mid-Meiji era.)