日本の生業と、世界の似たサービス > 木象嵌職人(富山木象嵌)
木象嵌職人(富山木象嵌)世界の似たサービス ─ イタリアの木象嵌(インタルシオ)職人
高岡の木工・彫刻の伝統を背景に発達したとされるが、木象嵌単体としての開始時期を示す確定的な一次資料は今回確認できなかった
共通の目的色や木目の異なる木片を組み合わせ、平面に絵や模様を表す
やり方が、どう違うのか
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、
世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=中東・シリアの螺鈿象嵌家具職人(異素材をはめ込んで文様を表す発想が近い参考比較)
なぜ違いが生まれたのか
富山・高岡は鋳物・彫刻・漆器という複数の金工・木工技術が集積した町であり、木象嵌もその技術基盤の応用として生まれた。イタリアのインタルシオはルネサンス期の遠近法表現(だまし絵)の追求から、建築的な大型パネルとして発達した
五感で味わう価値・職人のこだわり
- 出会える舞台・空間|富山木象嵌の指定団体「とやま木象嵌工芸会」の常設展示場が、射水市三ケの永森家具にある。入口横と店舗奥それぞれ幅10メートルのショーケース2か所に、約30点の作品が常時展示され、土日祝日(前日までの要予約)には木象嵌づくりを体験できる拠点も2020年7月に開かれた。それ以前は、氷見市海浜植物園の「木育キャラバン」や高岡市のファミリーパークのイベントで年1回開かれる体験会でしか木象嵌に触れる機会がなく、富山県指定・国指定を合わせた11の伝統工芸のうち体験できる8工芸の中でも、常設の拠点を持たない最後発だった。
- 五感|作品には着色を一切せず、樹齢数百年を超える天然木がもつ杢目や色目だけで絵柄を浮かび上がらせる。かんなをかけると思いがけない杢目が現れることがあり、現会長は「どうやればこの木が持つ美しさを作品に取り入れることが出来るのかと悩みながら造っています」と話しており、長年作り続けたいまも木そのものの表情と向き合いながら図案に合う一枚を選び出している。体験でつくる直径12センチの天然木コースターは、3枚を組み合わせても裏返して見ると木片が裏まできちんと嵌め込まれているのが分かる仕上がりで、派手さはないが、しっとりと落ち着いた雰囲気と無着色の天然木がもつ暖かな温もりが特徴とされる。
- 異常なこだわり|図案に合わせて選んだ天然木の板材を、糸鋸で一寸の狂いもなく何度も切り抜いては嵌め込むという作業を繰り返して1枚の絵に仕上げる。着色は行わず、木がもともと持つ色と杢目の組み合わせだけで濃淡や陰影を表現するため、狙った絵柄が出る木材を見極める目利きそのものが技術になっている。使う糸鋸盤は家庭用ミシンほどの大きさで力もほとんど要らないが、直径12センチのコースター1枚でも糸鋸盤の操作だけでおよそ10分かかり、初代・中島杢堂に12年間師事してから独立するという長い修業年数も、この技術の習得の難しさを物語る。
- 外国人の驚き|絵の具や着色を一切使わず、天然木が生まれつき持つ色の違いだけで一枚の絵を組み立てるという発想に驚く外国人が多いという。糸鋸で切り出した木片を寸分の狂いもなく嵌め込んでいく精度も、機械に頼らない手仕事としては驚きの対象になっている。危険な薬品を使わず、力もほとんど要らない道具立てでありながら、仕上がりには高い精度が求められるという振れ幅も意外性として語られる。
- 豆知識|富山木象嵌は明治40年(1907年)、鎖国が終わり糸鋸機械を使った近代象嵌技術の第一人者・小田原の白川洗石に富山生まれの中島杢堂が弟子入りし、技術を故郷に持ち帰ったのが始まりとされる。中島杢堂は昭和39年(1964年)に富山県無形文化財の指定を受け、その技術は2013年に「富山県指定伝統工芸」として認定された。指定団体「とやま木象嵌工芸会」は一時、会員が60代から70代の5人にまで減ったが、現会長の朴木立堂さんは16歳のときに中島杢堂に弟子入りしてから60年以上木象嵌に携わっており、2020年に永森家具へ常設展示場と体験拠点を設けたことで再び動き出したという。朴木さんは「富山木象嵌は、完成された伝統工芸ではありません。まだまだ未完成です」とも語っており、体験に訪れる人との出会いから新しい図案が生まれることを楽しみにしているという。
もし消えたら、何が失われるのか
| 事業者数(現在) | —(未確認) |
|---|
| 事業者数(ピーク時) | —(未確認) |
|---|
| ピークの年 | ─ |
|---|
| 統計の基準年 | ─ |
|---|
| 後継者不足度 | ★★★★☆ |
|---|
| 統計の出典URL | ─ |
|---|
失われるもの(数字にならないもの)
彫り込んでから木片をはめ込むという緻密な技法と、高岡の金工・漆器技術と結びついた木工文化が失われる
いま直面している問題
担い手の少なさ、高岡銅器・漆器と比べた知名度の低さ
出典
産地|富山県高岡市(富山県) 世界の対比先|欧州
English: Toyama mokuzogan (Toyama wood inlay)(A Toyama mokuzogan craftsman carves a recess into a wood panel and fits a differently colored piece of wood into it, building up a picture piece by piece rather than slicing veneer.)