日本の生業と、世界の似たサービス > 弓師(都城大弓)
製法の確立は江戸時代初期とされ、武を重んじた薩摩藩・都城の気風の中で発展した。平成6年(1994年)に国の伝統的工芸品に指定。
| 日本|弓師(都城大弓) | 世界|イングリッシュ・ロングボウ職人(英国の長弓職人) | |
|---|---|---|
| アプローチ | 竹と木を交互に何層も貼り合わせ、上下非対称に持ち手を低い位置に配した長さ2メートル超の「和弓」を、1本あたり200を超える工程を経て一人の職人が手作りする | 一本の木(イチイ等)を削り出す単材弓、または木・角・腱を接着した複合弓を、握りを弓の中央に配した左右対称の形状に仕上げる |
| 使う道具(日本側) | 弓削り小刀、火入れ(熱を加えて曲げる道具)、麻糸、漆 | |
| 使う素材(日本側) | 竹、櫨(はぜ)・真竹等の木材、麻糸、漆 | |
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、 世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=トルコ・モンゴルの複合弓(コンポジットボウ)職人。木・角・腱を接着して作る点は都城大弓の竹木積層と異なるが、天然素材を貼り合わせて反発力を生む複合構造という点で共通する(一次資料での裏付けは未確認のため参考情報)。
日本の弓は馬上や礼法を伴う神事・儀式で使われたため、上下非対称という独特な形状と、竹の弾力を生かした素材構成が発達した。欧州の弓は歩兵の実戦兵器として、より短く扱いやすい左右対称の形状に発達した。
| 事業者数(現在) | 確認できていない |
|---|---|
| 事業者数(ピーク時) | 確認できていない |
| ピークの年 | —(未確認) |
| 統計の基準年 | ─ |
| 後継者不足度 | ★★★★★ |
| 統計の出典URL | ─ |
1本の弓に200を超える手作業の工程を10年以上かけて体得する技術と、武を重んじる気風の中で育った「弓のまち」都城の記憶。
10年以上という修行期間の長さによる後継者確保の難しさ。都城市公式サイトで確認できる国指定伝統工芸士の在籍数もごく少数にとどまる希少性がある(一次情報での事業者数の正確な推移統計は確認できず)。
数字はすべて、その場で出典の名前と取得日を添えています。確かめられなかったことは「確かめられなかった」と書いています。
都城大弓は、鹿児島県の薩摩弓の流れを汲む大弓で、全長は約221センチメートルあり、世界最長の弓とされている(「明日への扉」公式サイト「都城大弓 弓師 横山慶太郎」、取得日2026-08-15)。この地域には弓の材料となる真竹や黄櫨(はぜ)が豊富にあったことに加え、藩政時代に島津家が弓の製造を奨励したことから、都城で弓づくりが盛んになったとされる。明治時代に入ると、弓の仕上げについての免許「日置流村之次第」を受けていた楠見善治が、弓の材料を求めて都城地方に来住し、その息子・蔵吉が多くの弟子を養成したことで、弓の産地としての都城が確立したという(同)。「都城大弓」は平成6年(1994年)4月、国の伝統的工芸品の指定を受けている(同)。
都城市公式サイトは「一人前の弓師になるには10年以上の歳月が必要といわれています。平成6年には国の伝統的工芸品に指定され、現在5人の国の伝統工芸士がいます」と記載している(都城市公式サイト「国の伝統的工芸品『都城大弓』」、取得日2026-08-15)。一方、2021年9月に配信されたドキュメンタリー番組の紹介記事では「現在は黎明氏を含む4名の弓師が国の伝統工芸士として活躍している」と説明されていた(「明日への扉」公式サイト、取得日2026-08-15)。
都城弓製造業協同組合自身の公式サイトが2026年に公開した最新の告知を見ると、東京・横浜での展示即売会に参加する弓師として、小倉紫峯・楠見蔵吉・南﨑寿宝・横山黎明・横山慶太郎の5名の名前が挙がっている(都城弓製造業協同組合公式サイト、取得日2026-09-15)。この5名という顔ぶれは、都城市公式サイトの「現在5人」という記載と一致する。2021年時点の「4名」という記載との間に増減があったのか、単に数え方が違うだけなのかは、今回の材料からは確認できなかった。
弓師・横山黎明弓製作所が公式サイトで公開している製造工程によれば、都城大弓づくりはおよそ次のような段階を踏む。冬に厳選した真竹を切り出し、芯材となる黄櫨は20年以上自然乾燥させる。現在使われている黄櫨は先々代が製材したもので、当代は孫や曾孫の代のために新たに黄櫨を製材し、乾燥させているという(横山黎明弓製作所公式サイト「製造工程」、取得日2026-09-15)。弓竹は炙って油を拭き取り、芯竹は焼き焦がして炭素化させることで反発力を高める。火入れした芯竹と黄櫨を張り合わせたあと、竹は3〜4ヶ月天日干しされ、さらに室(むろ)の中で5〜10年燻され続ける。燻すことで、人工塗装では出せない自然な色合いと光沢が生まれるという(同)。
その後、数百本の竹の中から撓りと節の位置が合う竹を選んで組み合わせ、一枚一枚手作業で厚みを削り、先代からの伝統的な技法で弓を曲げて楔を打ち込む。打ち込み方は弓師によって異なるという(同)。弦を張って弓なりを整え、関板部分を仕上げ、握りに籐を巻いて完成する。関板の形は、同じ銘の弓でも世代によって微妙に異なるという(同)。
都城大弓の弓師・横山慶太郎さん(1990年生まれ、三代目・横山黎明氏の長男)は、大学卒業後にオーストラリアでワーキングホリデーを2年経験したのち、正式に工房に入り、四代目・黎明を継ぐべく修行を続けている(「明日への扉」公式サイト、取得日2026-08-15)。慶太郎さんは「感覚に頼る部分が多いことに驚きました。削りであったり、曲げ方だったり、数値化していないものなので、とにかく体で覚えないといけない」と語っている(同)。8年ほど修行を積んだ時点でも、「父と同じ作業をしても仕上がりが違いますので、そういう面では0%です」と自己評価していたという(同)。
師匠である三代目・横山黎明さんは「弓師として一人前になるには10年かかると言われています」としながらも、「私は弟子入りして36年経っていますが、まだ自分の技術が完成したとは思っていません」と語っている(同)。「竹を弓の形にするだけなら10年でできますが、弓の評価は弓道家の方が使用した時に付くものですから、弓道家の方々が使って満足して初めて完成と言えるわけです」とも話している(同)。
都城大弓とイングリッシュ・ロングボウは、矢を遠くまで正確に飛ばすための、しなやかで強い弓をつくるという目的では共通する。ただし構造は対照的である。都城大弓は、竹と木を交互に何層も貼り合わせ、上下非対称に持ち手を低い位置に配した、長さ2メートルを超える弓を、1本あたり200を超える工程を経て一人の職人が手作りする。イングリッシュ・ロングボウは、一本の木(イチイなど)を削り出す単材弓、または木・角・腱を接着した複合弓を、握りを弓の中央に配した左右対称の形状に仕上げる。日本の弓は馬上や礼法を伴う神事・儀式で使われたため、上下非対称という独特な形状と、竹の弾力を生かした素材構成が発達した。欧州の弓は歩兵の実戦兵器として、より短く扱いやすい左右対称の形状に発達したとされる。
産地|宮崎県都城市(竹弓の生産量で全国トップとされる産地)(宮崎県) 世界の対比先|欧州
English: Yumishi (Japanese Bow Maker)(A yumishi in Miyakonojo hand-laminates bamboo and wood into Japan's asymmetric longbow, the yumi, a craft requiring more than a decade of training and over 200 separate steps to complete a single bow.)