日本の生業と、世界の似たサービス > 和紙職人(因州和紙)
和紙職人(因州和紙)世界の似たサービス ─ イタリア・ファブリアーノの製紙職人(中世から続く高級手漉き紙の産地。画家・書家向けの高品質紙で知られる)
起源は諸説あり、江戸時代初期〜中期に千代川流域で製紙が始まったとされる。中世に紙漉きが行われていた可能性を指摘する説もある
共通の目的繊維の長い丈夫な手漉き紙を、書画・工芸用の高級紙として作る
やり方が、どう違うのか
⚠ 「使う道具」「使う素材」は日本側のみ調べています(世界側は同じ条件で確かめられていないため、
世界側の比較値は作っていません)。
もうひとつの世界の対比例=韓国の韓紙(ハンジ)職人(コウゾを原料に流し漉きで漉く、東アジア共通の製法系譜を持つ書画用紙)
なぜ違いが生まれたのか
因州和紙は千代川の良質な水と、山陰の気候に適したコウゾ栽培を背景に、書画用の強靭な紙という方向で発達した。ファブリアーノは中世イタリアで水車を使った製紙技術革新(すき網の発明等)を背景に、透かし入りの高級紙という方向で発達した。「良質な水資源をどう紙に生かすか」という共通課題への異なる解である
五感で味わう価値・職人のこだわり
- 出会える舞台・空間|鳥取市青谷町にあるあおや和紙工房。因州和紙は流し漉きで一枚ずつ漉かれ、干し板に貼って天日で乾かす。制作には楮、三椏、雁皮を原料に使い分け、鳥取県因州和紙協同組合(大因州製紙協業組合内)が産地をまとめている。あおや和紙工房では紙漉き体験ができ、営業時間は9時から17時まで、体験受付は16時30分までで、月曜と年末年始が休みになっている。
- 五感|紙漉きのときに立つ「ちゃっぽん」という水音は環境庁の日本の音風景100選に選ばれている。原料は繊維が太く強靭な楮、細く柔軟で光沢のある三椏、細く短く光沢のある雁皮の三種を使い分け、障子紙・奉書紙、紙幣やかな用書道半紙、美術用修復和紙など仕上がりの風合いがそれぞれ違う。天然繊維そのままの温かみのあるしなやかさと、酸化しにくい自然な強さを併せ持つ。近年は立体形状のインテリア製品やパソコン用印刷紙など、時代に合わせた新しい製品も作られている。
- 異常なこだわり|原料を苛性ソーダなどでアルカリ性にして煮たのち、繊維を手やたたいてほぐし、トロロアオイの根から取った粘液(ネリ)を加えて紙料を調整してから流し漉きで一枚ずつ漉く。原料の木の皮は「かごこき機」に鉄部分をはさんで引き抜き、黒い外皮(鬼皮)を削り取る。漉き上げた紙は朝顔ジャッキで水分を圧搾したのち、干し板に貼って天日で乾かし、最後は手裁ちまたは機械で規格寸法に裁つ。干した紙をはがす紙干しほうきは稲わら製で、かつては家ごとに作るほか村の名人に頼んで作ってもらうこともあった。
- 外国人の驚き|高級画仙用紙は「因州筆切れず」と呼ばれ、他の和紙で一枚書く間にこの紙なら二枚書けるほど筆先が傷まず、墨の減りも少ないと伝えられている。首相官邸の壁紙や浅草・浅草寺の雷門の大提灯にも使われており、日常の書写道具から国の施設や名所の装飾まで同じ紙が使われている点に驚く人がいる。紙漉きの作業歌『紙漉き唄』の歌詞に出てくる『蝶の御紋』は鳥取藩主・池田候の家紋を指すとされ、労働歌に藩主の紋がそのまま歌い込まれている。
- 豆知識|現存する最古の因州和紙とされるのは721年の『因幡国屯倉計帳断簡』で、765年の『因幡の国司牒』には「楮の溜め漉き」だったと記されている。延喜式には因幡国から朝廷に紙が献上された記録が残る。慶長年間(1596〜1615)には領主・亀井滋矩の御朱印貿易で海外へも輸出され、江戸時代には鳥取藩へ上納する藩御用紙として繁栄した。大正時代には佐治の田中兵十郎という人物が三椏紙の書き心地の良さを広め、『筆切れず』の名が定着したと伝わる。1975年(昭和50年)1月、全国の和紙産地に先駆けて国の伝統的工芸品に指定され、翌年には『因州佐治みつまた紙』と『因州青谷こうぞ紙』が鳥取県無形文化財に指定された。
もし消えたら、何が失われるのか
| 事業者数(現在) | 16名 |
|---|
| 事業者数(ピーク時) | —(未確認) |
|---|
| ピークの年 | —(未確認) |
|---|
| 統計の基準年 | 2023年7月現在 |
|---|
| 後継者不足度 | ★★★★☆ |
|---|
| 統計の出典URL | —(未確認) |
|---|
失われるもの(数字にならないもの)
江戸時代初期〜中期から続く、書家・画家に選ばれ続けてきた「因州画仙紙」としての繊維の強さと発色の良さという品質
いま直面している問題
安価な機械漉き紙・輸入紙との価格競争、書道・日本画人口そのものの減少、後継者不足
出典
産地|鳥取県鳥取市(青谷町)(鳥取県) 世界の対比先|欧州
English: Inshu washi (Inshu Japanese paper)(An Inshu washi papermaker hand-forms long-fibered mulberry paper prized by calligraphers and painters for its strength and even ink absorption.)